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要件ではない。しかし、法令の規定により、書面の作成が契約の成立要件とされている場合や、契約の成立要件とはされていないが、法による強制または救済を求めるときに、署名のある書面を必要とする場合などがある。例えば、米国統一商法典(第2−201条)は、一定金額以上の売買契約について、署名のある書面によらない限り、訴または抗弁によって主張することができない旨を定めている。したがって、EDI取引当事者は、EDI協定を締結したからには、EDIメッセージを使用したことを理由に、当該当事者間の取引を法律上無効であると主張したり、訴訟の提起を否定したりしないことを確約しなければならない。
(3)「有効性・強制可能性」に関する合意内容
EDIメッセージによって締結された契約の有効性および強制可能性に関連する当事者の意思について、米国のEDI協定書では、第3章「トランザクションに関する条件」の下に、次の4点にまとめている。
?ドキュメント(メッセージ)の電子的送受信によって拘束力のある売買契約を締結する当事者の意思を証明するものであること(3.3.1.)。
?EDI協定書に従って送受信されたドキュメント(メッセージ)は、「書面」または「書面によるもの」とみなし、また、これに署名があるときは、(a)「署名されたもの」とみなし、(b)通常の取引の過程の中で作成、保存された電子的ファイルまたは記録からプリントアウトされた場合に、「原本」として扱うこと(3.3.2.)。
?EDI協定書に基づく当事者の行為は、署名のあるドキュメント(メッセージ)の使用を含めて、取引の過程および履行の過程の証拠とみなされること(3.3.3.)。
?当事者の合意が、書面によってなされるか、または拘束される当事者によって署名されているか否かに関連して適用される法律規定に基づいて、署名のあるドキュメント(メッセージ)の有効性または強制可能性を争わないこと(3.3.4.)。カナダおよびノルウェーのEDI協定書には、強制可能性または[EDIメッセージの]
法的地位に関する規定を設けている。しかし、英国のEDI協定書およびUNCIDには、これらに該当する規定がない。
(4)EDIメッセージの「書面性」、「署名」及び「原本」EDIによる契約の有効性に関する紛争が生じた場合に、当事者間において、EDIに

 

 

 

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